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オーストリア5月の Onomatopoeia
今、5月、ヨーロッパのオーストリアも春たけなわと言ったところでしょうか。暖かい5月。 詩人のハインリッヒ・ハイネ(オーストリア人ではありませんが)が5月を憧れ讃える詩を謳ったのも頷けるものです。
Im wunderschönen Monat Mai,
als alle Knospen sprangen,
da ist in meinem Herzen
die Liebe aufgegangen
Im wunderschönen Monat Mai
da hab ich ihr gestanden
mein Sehnen und Verlangenいと麗しき五月
なべての蕾、花とひらく いと麗しき五月の頃 恋はひらきぬ わがこころに。
諸鳥のさえずり歌う いとも麗しき五月の頃 われうち開けぬ、かの人に わが憧れを、慕う思いを。片山敏彦訳
時にちょっと寒過ぎて長袖のシャツに長ズボンを身に着けなければならないと思ったら翌日は良く晴れ渡って、 春の陽気と言うよりも初夏を感じさせる暖かさ。半そで、半ズボンに履き替えるといったこの早業はオーストリアでしか学んだことがないように記憶しています。
■動植物がうごめくところで、雉(きじ)の鳴き声を聞いたことがありますか。 春を謳歌しているようです。よく耳にします。最初はちょっと戸惑いましたが、、、、、何故でしょう。
日本の子供たち(それとも今は違うのかもしれませんね、どうなんでしょうか)は小さい頃は誰でも絵本を親から与えられ、 絵本を通して想像の世界を駆け巡り、想像が現実の如く思われて生きて行く、そんな世界を通過してきていますが、 絵本の中の代表的な、昔話として「桃太郎」の話が思い出されます。
桃太郎が鬼が島に鬼退治に行く途中で色々な動物に会い、 家来にして一緒に鬼が島へと乗り込んで行きます。雉に会ったときに、 雉が鳴いていたのですが、その鳴き声がこう記されていました。
「ケーン、ケーン」
実はそうではないのです。オーストリアに来て結構経ったのですが、最近、真実を知りました。
何回聞いても、そんな風には聞こえません。日本の物語の中での話しということで、現実を映したものではないと言えばそれまでですが、 現実の世界での体験を通して物語の世界の出来事を訂正することを知った次第でした。
わたしたち一家が住んでいる直ぐそばは結構大きな農地というのか野原というのか、新緑が目に刺激的な草原のような、 緑の絨毯を敷き詰めたように見えます。何だと思いますか。時が来たら大型トラクターが大活躍しているのを見るようになりますが、 全部刈り取られ、乾し草、つまり家畜の餌となるものなのでしょう。
緑と言えば、お隣さんの庭の芝生の緑もとても新鮮に緑緑に見えます。生えています。映えています。我が庭の方へと更に視線を移すと、 ああ、見られたものではありません。全く狭いのに子供達のミニサッカー場と化し、今まであった緑の芝は全部踏み倒され、 蹴飛ばされ、擦り切れられ、徹頭徹尾痛め付けられて、とうとう緑の芝は完全に剥ぎ取られる形となってしまい、 二度と芝生を見ることが出来ないかのようなツル んツルんの地肌になってしまいました。
花達も開花し始め、色とりどり、チューリップにも色々な色があるのですね。赤や黄色ばかりと思っていたら、 そうではなく、紫とか黒とか人間が想像できる色のものもあるのです。色々と種類があるというのも創造主の心の広さの表れでしょうか。 やはり人間だって十人十色だし、自然の創造物も色々と成長する姿はいつ見ても素晴らしい、気持ち良いものです。 特に、この5月。
さて、我が奥さんは元の芝生を取り戻すべく、作戦開始です。芝生用の種を一袋買い、芝生成長促進用の土を何袋か買ってきました。 畑を耕すかのように元芝生地を言わば開墾し、水を撒き、芝生用の土で元芝生地を被いつくし、 更には芝生の種を元芝生地にばら蒔くのでした。お隣さんからは重いローラーを借りて、芝生の種が芝生用の土に張り付くように、 食いつくようにと狭い庭の中を行ったり来たり、額に汗し、か弱い両腕には力が入り、腰を曲げての地ならし。大仕事。「ご苦労様でした」と 慰安の言葉でも一つ言っておかないといけません。
近所の鳥たちはそんな風景を遠くから黙って見ていたようですが、新たな餌が見つかったぞ、しめた、とでも思ったかどうかは知りませんが、 人間たちが一仕事終えた後、居間で一息入れている隙を狙ってとでもいうのでしょうか、窓外に目をやると、
「あれっ! 種をついばんでいる! せっかく撒いたのに」
「違うわよ。あれはね、小さな虫やミミズを取っているよ」
「いや、そんなことはない」
「いいじゃない、一つや二つ食べたって、あんな小さな体では全部はたべきれません」
二階の、目の前のガラス窓を上から下へと、また左から右へと急転直下風に飛行するのを何度も目にするようになったので、もしかしたら近くに住んでいるのではなかろうかと直感したのです。家の周りを調査したところ、軒下に巣が据えられているではないですか! ちょっとした驚きでした。あんな高い所に、といっても鳥にとっては高くもなく、また外敵から守られるような場所に、良い場所を見出したものだ、とわたしは感心しているのでした。軒下には鳥の巣がいつの間に作られていたのでしょうか。
因みに、この鳥、ドイツ語で die Amsel といいます。 口ばしが黄色、体全体は真っ黒。この鳥、鳥のくせして人間の口笛を真似するかのように口笛を吹くのがとても上手。これはオーストリアのウグイスなのかな、とはじめは 聞き間違えてしまった。人間との会話、口笛競演をしたがっているかのようです。お互いにこの暖かさを満喫しましょうよ、と。5月の空に鳴り響く。
冬を越えてもまだ外気は冷たく、オーストリアの家屋の窓は普通二重窓になっているのですが、窓を開けるのも朝、起床後の部屋の空気の入れ変え、喚起とも言いますが、10分もすれば冷たい外気で室内は満たされ、新鮮な空気もこれで十分ということで窓を閉めます。5月の薫香が鼻を刺激する。ついでに何だかムズムズする。花粉症の季節は相変わらず続いているのです。
さて、春がやって来たので、もう外気も昼間は冷たくなく、窓を開け放ったままにしておくことができますが、春に喜びを感じた動物、 昆虫たちも活動開始です。道に迷ったのか室内に闖入してくる昆虫もあり、オーストリアのハチとでも言うのか Wespen がまた餌食(人間を含む) を求めて飛び交うようになります。近くには小川が流れているので、蚊も発生することでしょうし、それぞれ自然界の生き物たちも春の訪れを 心待ちにしていたかのようです。
「ほら、見てご覧よ。あそこ。木と木との間に、耳がピクピク左右に動いている、見えない?」
「近眼だから分からないよ。何がいるの?」
「Rehよ」
「Rehってなんだ?」
「シカよ」
「何してるのだろう?」
「小川の水でも飲みにきたのよ、多分」
しかと確かめてみようと、わたしは双眼鏡を取りに行った。鹿を追うものは山を見ず ―― ぶつぶつと口の中で言いながら、元の位置に戻って見ようとすると、鹿を見ずであった。 この5月、鹿だって忙しいのだ。
■動物たちの鳴き声絵本を見ながら、読むのを聞きながら、 色々と動物たちの鳴き声を学んだのです。
じゃあ、猫さんは _日本語で_何と鳴くの?
「ミヤウ、ミヤウ」
犬さんは?
「ワン、ワン」
牛さんは?
「モー、モー」
馬さんは?
「ヒヒーン、ヒヒーン、」
ヤギさんは?
「ウメー、ウメー、」
象さんは?
「、、、、、(ちょっと考えた後)ゾウーゾウー」
ちょっと苦しい。
で、雉(きじ)さんは?
「ケーン、ケーン」
「違います!」
「キジキジキジッ、キジキジキジッ、」
そうです、雉はケーン、ケーンではなく、キジキジキジッと鳴いているのです。 始めはオーストリアの雉も冗談がうまいなあ、そんな風に鳴いているではないだろうと思ったのですが、まさか日本語が出来るオーストリアの雉であるわけもないし、 日本から来たこのわたしをからかっているのかと思ったら、そうではなく、本当にキジキジキジッ、と鳴いているのでした。これには驚きました。いや、大変分かりやすい。 まあ、聞きようによっては別のようにも聞こえますが、わたしの場合、以下のように表現することにします。
短いお話:
5月のある日のことでした。
オーストリアのキジ(ドイツ語で der Fasan)さんは
「キジキジキジッ」
と鳴きながら飛び立ったのでした。 (おしまい)
この 'Onomatopoeia' とはギリシャ語から派生したもので、<言葉を作る>という意味がある のだそうです。
Marchtrenk 14.Mai2004
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