[オーストリア人百人一周]

オーストリアの「色々」について オーストリアからのメール  「自然が呼ぶ」とは言うけれど、(その

              EU統一運転免許証」の発行


 皆さん! 

(わたしは誰に向って、話し掛けているのでしょう? ちょっと偉そうに、大上段に構えているかのように聞こえるかも知れませんが、ご勘弁を)
 

 皆さん、 今日の世界にあっては何人(私人、個人と言い換えても良いか と思いますが)と雖もある特定の国に所属する国民として生きることにな っています。「自分は国際人だ、いや、世界人だ」と自称する人がいたと しても、それはその人の自由でしょうけれど、所詮はそれぞれの国家がい わばこの世界の最小単位を形成しているのです。あなたはその国々のどれかに属している筈なのです。

 皆さん、 本日、オーストリアの所謂職安で、偶々そこで見掛けた皮膚の色が黒い 人に話し掛けました。話を聞いてみると、自分はアフリカのナイジェリア の出身だが、今はオーストリア人だ、と言っていました。オーストリアに は13年も住んでいるそうです。
 一年前から失業中だそうです。職安では先回、「道路掃除夫になったら どうか」と言われたそうです。当地、ヨーロッパ、オーストリアでは皮膚 の色が黒いということだけで余り能力のない人間といった風に捉える節が ないでもないのです。本人はMBAを持っているのだ、ちゃんとした会計士 でもあるのだ、ということでその証明書を今回は持って来た、と言ってい ました。わたしも皮膚の色は黄色ですが、オーストリア人個人個人の意識 の問題なのでしょうが、音楽を愛するオーストリア人といったイメージだ けでオーストリア人と付き合うと落胆、失望することも少なくはないです。
 

 これを読んでいらっしゃる人たちはMさんでありWさんであることは容易に想像できるのですが、殆ど皆さん日本人として日本国に所属し、日本国政府が発行するパスポートを持って外国へと出掛けたり、滞在したり、第三国へと通過したりするでしょう。

 

 例えばわたしの場合、上記のアフリカ人、いや、ナイジェリア人、いや いや、オーストリア人と同じように、オーストリア国に住んでいます。ですからオーストリア国の法律の規制の下に置かれているわけです。この国 に滞在する限り、この国の法規制に従わざるを得ません。それは何もオーストリア国に住む外国人だけに当て嵌まることではなく、本国人に対しても適用されるものです。
 

 そうは言うものの、オーストリア国の法律規定を一々知っている訳ではありませんので、問題が起きたときに初めてどうなっているのかと自分で調べるか、自分の手に負えなければ所謂専門家の門を叩くことになるのかもしれません。

 ですから、米国に住んでいる方は、米国の法律の下に生きて行 くことに なります。ところで米国と一言で言っても実際は50の州に分かれている ので、米国の法律の下に生きると言っても、実際はあなたが住むそれぞれ の州、例えばカリフォニア州に住んでいるのでしたらカリフォニア州の法律の下に生きるということになりますよね。カリフォニア州に住む本国人と同じ法的適用を受けることになります。
 

 翻って、こちらヨーロッパ、ヨーロッパ連合(EU)は現在、15カ国の加 盟で成り立っています。大西洋の反対側に横たわる大陸の向こうを張って 言わば”ヨーロッパ合衆国”が形成されていると呼んでも当たらずも遠か らず、それぞれの加盟国がこの「ヨーロッパ合衆国」のそれぞれの州を成 しているとも言えます。オーストリア国というオーストリア州があって、ドイツ国というドイツ州がある、といった具合です。   
 

 近いうちに、あと10カ国の加盟が予定されていますので、合計25カ国を抱えるEU連合になるのもあとは時間の問題です。
 オーストリア国に住むわたしは実はオーストリア国の法律規制を受ける だけでなく、オーストリア国が属するEU連合の諸規制の下に生きていることにもなるという事実を知りました。


 さて、ここからが本題、やっと!

 EU委員会は期限付きの運転免許証の発行を目論んでいるようです、 その理由としては偽造防止のために素材としてプラスチックを使用する、またクレジットカードと同じような大きさにするということで、所謂「点数制運転免許証」というものがEU全域に渡って導入される方向のようです。

 ここオーストリア国では再来年の2005年からの導入が予定されているようです
 

 この「点数制運転免許証」はイタリア国では既に導入済みで、オーストリアも導入することのようです。大小の違反行為(長い違反項目リストがあって、それぞれに点数が決められています)に対してそれぞれ点数が決 められていて、20点の持点が違反の度に引かれて行き、まずは10点 まで引かれるようになっている、もちろん、重大の違反者は即座に免許証 が取り上げられる処分を受けることも十分ありうるといったものです。
 

 そもそもEUは運転免許証というものを抜本的に改革して行きたいとの意 向を持っていたようです。現時点では、各国でそれぞれ異なった運転免許 証が80種(想像できますか、15カ国の中に80種もの異なった運転免 許証が存在するという事実!)もあって、EU委員会としてはひとつの統一された免許証にしたいということです。Euroの導入によって欧州通貨の統一が成されましたし、今度は運転免許証も統一しようということのようです。因みに、わたしのひそかなる願いですが、人々のこころも善なる方向に統一されると良いですね。
 

 今、わたしが持っているオーストリア国の運転免許書は紙製です。破ろ うと思えば破れます、破りませんが。それでも年月が経つに従ってぼろぼろになってしまいます。日本からの運転免許証を持って、地元の交通局に オーストリアの免許証に書き換えてくれる様に頼んだ時が思い出されます。 (「オーストリアからのメール No.9, 10, 11」をご参照下さ い。面白いですよ、と、誰も言ってくれる人がいないので自分で言ってしまった、アッハハハハッ、失礼!)
 

 係員は「まるで何かの入場許可証みたいだ」とのたまわったのですが、 日本の運転免許証も裏側は紙製、表面はラミネートが張られていたように 記憶(今から約7年前の時点)していますが、日本製運転免許証は今回EU委員会が意図している運転免許証に一歩近づいているような形になっているかと思われます。今の日本のそれがどうなっているは知りませんので、間違っているようでしたらご指摘ください。

 EU委員会としては抜本的な運転免許証を発行したい、と。
  良いことではないですか! 

プラスチック製で大きさはクレジットカードと同じといった風に、と。
  もう一度、良いことではないですか!

 これだったら何年経ったとしてもボロボロになることはないでしょうし、 もっとも有効期間を10年に限定するようですが、手軽に他のクレジットカードと一緒に携帯出来る簡便さがあるかと思います。ATM機に知らぬ間にカード(運転免許証のこと)を挿入して、ATM機に取り上げられてしまうことになることがないように警戒する必要が出て来る可能性は大きいですね、多分。
 

 ただひとつ、注目すべき点が一つ。新たに発行される運転免許証は期限 付きだ、ということ。本人の写真付き証明証を新たにすることで詐欺 行為 または偽造行為も制限または阻止されることだろう、とEU委員会の報告書 では述べているそうです。
 

 この新しい運転免許証を発行するという提案ですが、それが本当の意味 で発効するためには、EU加盟国、およびEU議会での議決が必要となります。
 

 今、わたしが所持している、従前の運転免許証はそのまま一生使用に供することが出来るとのこと。良かった、良かった。やはりヨーロッパ人はこういった点については良識を弁えているとわたしは思ってしまいます。
 

 オーストリアの運転免許証は別名「Rosa Schein 桃色免許証」と言われますが、免許証を紛失したり盗難に会ったり、そういう人は運がなかったとして諦める他ないようですが、それでも救いはあるようです。
 

 新たな運転免許証を入手することが出来るということですね。もちろん 無料ということはないと思いますが―――、一番大きな痛手は一生有効という訳には行かないということになるでしょうか。つまり、期限付き!
 提案されている年数はオートバイと自家用車用の運転免許証は10年有効、65歳以上の人は5年だけ有効とするそうです。

 わたしは当時、そして今もそうですが、「一生有効の運転免許」というものに非常な魅力と愛着を感じたものです。
 よくぞ、オーストリアだ! 万歳! 万歳! 万歳! 
とわたしは心の中で声援を送りました。初めてオーストリアの免許証を手にした時のことでした。面倒臭い書き換えの手続きを取る必要がなくなったのですから。

 医者による診断、目の検査は新たな免許証に交換するに当たっては提案 されていないようです、と言うか各加盟国が独自にこの点につい ては決定出来るとしているようです。
 

 例えばドイツ国の国民がその運転免許証を何らかの理由で取り上げられて、別のEU加盟国で、例えばオーストリアへ行って新たな運転免許証を申請するといったようなことが起こらないように全EU的にシステムを整えておかなければならないという提案もしています。これは当然でしょう。
 

 EU委員会によると、EUに属する人口の60%、すなわち2億人の人が運転免許証を所有しているそうです。現在、加盟各国での異なった規制があって、EUに属する個人が自分の国以外へと移動、引っ越したりすると法的にもまだハッキリとしない諸点があることは否めないようです。
 

 EU委員会は他にも広範に渡る改革を提案しているそうですが、詳細は今のところ筆者には分かりませんので、ここには記しません、いや、記せません。悪しからず。


 それでは、みなさん、ここでちょっと Achtung! Achtung!
 オーストリア国にやって来て、何年か住み着くつもりでいらっしゃる皆さん! 
 早く、やって来て下さいよ。早く、早く!

 一生有効! 一生有効ですよ! 毎回の書き換え手続きは必要なし!  
 そんなオーストリア運転免許証入手の可能性も後一二年しか残っていませんよ。
  勿論、その際には日本製の運転免許証を持参することを忘れないように!
  (それとも、オーストリア当局は一生有効の免許証をもう発行しないような方向を既に取り始めているのだろうか? ――――これは筆者のひとり言)

追記
 ところで、日本国政府発行のパスポートで10年間有効というものを保持していますが、10年間というのはひとつの節目となる年数なのでしょうかね。将来発行されるであろうEU連合統一運転免許証の有効期限も10年間と区切っているようです。10年経ったらまた更に10年間有効の免許証、またはパスポートを入手するという手続き取るようにして、煩雑な手続きと人手費用等を出来るだけ節約しているとも考えられますし、10年単位で国家的事務を処理して行くのは世界の趨勢なのでしょうか。

オーストリアの「色々」について オーストリアからのメール  「自然が呼ぶ」とは言うけれど、(その