「ドイツ国の文盲人口 ほぼ4百万人」   オーストリアからのメール   この世で一番住み心地が良い国とは

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 行過ぎた犬の効用

 

リンツ市警察の家宅侵入・車両窃盗犯罪を専門に担当して係官から聞いた話を記事にしたものらしい。 それを読んだ。ここオーストリアに住んでいて、勿論、家屋・住居の中に住んでいて思い当たる節があるので、以下にも書いて見ました。

侵入者から自宅を守るアドバイスが色々と記されています。新聞一面の半分が記事になっていますが、空き巣が多いのですよね。 結構面白い。空き巣の話が面白いと言うのではなく、空き巣はどのような行動するのか、分析して読者に教えてくれている。 つまり空き巣に入られないように、こうしなさい、ああしなさんな、と色々なアドバイスを提供しくれている。 全部をご紹介したいところでもありますが、超長文になってしまいそうなので、我が翻訳文は割愛!

留守宅を専門に狙う奴はどこにでもいるのでしょうね。というか、留守宅しか狙いません。人居るところには入っては来ません。 人が居るか居ないのか、事前に下調べしてしているらしい。居ないと確信が持てると行動に移るらしい。 朝、昼、夜、いつ侵入するか、あまり関係ないようです。人が居ないこと、近所の人から見られないこと。 それに気を使っているようです。いわば透明人間のつもりでいるらしい。

一戸建ての住居にすんでいると、お隣さんとの境界線に生垣等を巡らして、外から覗き込まれないようにしているお宅も多いようですが、 それはまた侵入して来た人が誰にも見られない隠れ蓑の役割を果たしてしまっている、と担当者は指摘しています。窓には鉄格子を張るとか、 出掛けるときに玄関の鍵を玄関ドアのどこか周辺に隠すようなことはしないよ う、にとのことでもあります。侵入者はそういうことは知っているのです。自分で身に離さず持参すべきでしょう。

この鍵のことですが、ヨーロッパ人はいくつもの鍵をポケットの中に持ち歩いていますね。色々な鍵。 アパートに住んでいる人はまずアパートの入口の鍵、アパートの中の自分の住居、ドアの鍵、 またアパートの地下には自転車置き場やそれぞれの住民に宛がわれた地下室がありますが、それ用の鍵、 ポスト用の鍵、数え上げてゆくといくつもの鍵を作って貰わなければなりません。一戸建てになると、家族一人一人が門の鍵、玄関の鍵と所有することなります。

侵入者から自宅を守るためにも鍵は必要になっていますね。鍵が掛っていれば一応、侵入できません、 ということが言えるのですが、侵入者にとっては鍵など関係ないようです。開いているところを探し出し、

わたしの体験。空き巣の体験ではありません。それにつながったかもしれないと思われる体験ですが、 日中、家の門は開け放されていて、誰でも小さな庭の中へと入って来ようと思えば入って来れます。人それぞれの考え方にも拠るでしょうが、 「どうぞお入り下さい、ご自由にどうぞ!」といった風に開け放されていると見えないこともないです。

ある日のこと。見知らぬ人が門の呼び鈴を押した。ガラス窓のカーテンをちょっと開けて様子を窺った。 もう一度、呼び鈴を押した。しばらく待った。もう一度押した。

三度目の正直とでも言うのか、わたしは門のところまで出向いて行って、ちょっと胡散臭そうに見えるのでぶっきら棒な口調で「何事か?」と聞いてみた。

どうも旧東欧からやってきた人らしい。ドイツ語は片言。あっちの方から来た、と。あっちとはどっち? どうもハンガリー人だっただろうか。 「何か捨てるような電化製品はないか?」「回収に来た」と恰も市の清掃係の人かと思っ   てしまったが、そうやって一軒一軒訪ね歩いていたらしい。 個人宅訪問の出稼ぎ者?

呼び鈴を何度か押しても誰も現れないとなると諦めて行ってしまうのが普通ですが、 そのまま門の中に入って来て家のドア(実は常に締めてあります)を開けて、「こんにちは!」とか何とか言いながら家の中に”侵入” して来ることも有り得たかも知れません。

我が家は犬を飼っていません。ご近所もそうです。でも猫を飼っている。今年 の夏、長期休暇(おお、羨ましい!!!)にギリシャへと出掛けている間、我が家は猫に餌をやるしごとを授かりました。ご近所付き合いですね。

何故、ヨーロッパ人は動物、特に犬を飼うのか。動物愛からかも知れませんが実は別の理由もあるようです。 そういうことを最近わたしはここオーストリアで体験、理解するようになりました。

住んでいる近所の通りを悠々と自転車で走っていました。角を曲がった所で、

 バウバウバウ WAUWAUWAUWAU 

と来たもんだ。

そして続いて、

 ワウワウワウ wauwauwauwau 

とも来たもんだ。大文字、小文字で書いたものの、文字ではその吼え声も表現しきれない、残念。

最初は馬鹿でかい犬、金網で仕切られている通りに沿った庭の中、無聊に苦しんでか、その辺をのっしのっしと歩き回っているのでしょうが、 知らぬモノが通り掛ると自分の静寂を侵されたとでも感知したのか、金網から飛び上がって襲わんばかりにこちらに向って何度も喚く。バウバウバウ。

わたしは何事もなかったかのごとく平静を保ってそのまま通り過ぎて行った、と思ったらその馬鹿でかい犬の喚きに刺激されたのか、 挑発されたのか、いつの間にか、足元、ペダルのところに目をやってみたところ、小生意気な体長30センチにも満たない小柄な贅肉がなにもない子犬が剥きになって、 止せば良いのに、ワウワウワウン。

ペダルの足に噛み付こうとでもしているか、そのいじらしさ、いや生意気さ。こ奴目、と足蹴して追っ払おうかと足を振り上げるかのようにフェイントを掛けたら、 益々頭に乗って一層姦しく喚く。自転車の後を追ってこの人間様を襲うとするかの勢いだ。

さて、一体何事が起こったのか、とその異常な吼えぶりに何か危機を察知したのか、家のドアからは飼い主であろう、 出ぶったちょび髭のおっさんが不審そうな表情を見せながら出て来た。子犬にそっくりだ。

話に聞くと、近所の子供たちもこの子犬には恐れをなしている、嫌がっているとのこと。その通りを通ると誰彼構わず近寄ってきて警戒しながらも吼え捲くるとか。

飼い主が問題なのですよ。犬の件については以前、別のところで別のことを書いたことがありますが、本当に動物愛があるのかどうかはちょっと信じがたい。 こちら→    「自然が呼ぶ」とは言うけれど、(その一)  番犬として飼われているのでしょう。つまり、侵入者防止のために飼っていると思われます。静かな界わい、立派な一戸建てが通りに沿って何軒も続く。 大きな庭付き、ガレージ付きの誠に素晴らしいお家ばっかりであります。

お隣さんはどうしているのは分かりません。外から眺めていても家の中に誰か居るのかは分かりません。 侵入しようとする思いを持っている侵入者にとっては格好の対象であるのかもしれません。

こうして各家で犬を飼っている理由がそれなりに分かった次第でした。犬が喚けば侵入者も驚いてちょっとやそっとでは侵入できません。 犬が喚けばご近所にも聞こえ、何事が起こったのかご近所も関心を示すかもしれない。

犬の効用を活用しているのでしょう。

でも行きすぎ!   

こうした事実もあります。報道によると、毎年、3500人のオーストリア人は犬の餌食に遭って病院のお世話になっている。 その中に侵入者も含まれているのかは定かではありません が、2002年には6000人以上! がお世話になった、と。犬に噛まれた3500人の中には600人の子供も含まれている、と。

確かに、犬の攻撃的な動作には驚かされますわ。

幼稚園では幼稚園児(そして親御さん)のために、小さな絵本になったものを渡されたのを思い出します。犬に対してはどう接するか、 漫画で説明されたものでした。勿論、ドイツ語でも説明されていました。新聞記事では侵入者にどう対処するかが書かれたものでしたが、 通りを歩くのも何が起こるか分かったものではない。

人間が主人なのか、犬が主人なのか。そこのけそこのけ、お犬様のお通りだ。ついでに侵入者も密かにお通りだ。

注意しながら行きましょう、生きましょう。

(Marchtrenk 28.Oktober 2004)

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